「好き」を仕事にして、成功するには何が必要か?
好きな仕事が潜在能力を引き出す。
今年でサラリーマンを辞めて13年になる。いまでは当時のことをそれほど思い出すわけではないが、ある場面に遭遇すると必ずサラリーマン時代の記憶がよみがえる。
それは、朝の通勤電車だ。まるで「地獄行きの列車」に乗り合わせてしまったかのような重苦しい雰囲気に遭遇すると、辛くて苦しかったサラリーマン時代のことを思い出す。あの重苦しい光景を見て、日本の未来は明るいと感じる人がいるだろうか。こどもたちがあれを見て、早く大人になりたいと思うだろうか。
なぜ毎日の通勤電車の雰囲気が重苦しいのか?理由は、カンタンだ。みんな好きなことを仕事にしていない、未来に希望が持てないからだ。
一般的に好きなことを仕事にしている割合は30%ほどだと言われている。ということは残り70%の人は、周りの人や環境に流されてなんとなくその仕事についた、あるいは好きではないとわかっていても生活のために仕方なくその仕事をしている、ということになる。
私は、ほとんどの人は、持っている才能や能力のほんの一部しか生かしていないのではないか。潜在能力の大半を、それに気づくこともなく、ただ眠らせたままではないのか、そう感じている。私の場合がまさにそうだった。
それは、好きなことを仕事にすることによって・・・・
好きだからこそ、どんな困難も乗り越えられる。
好きだからこそ、根気のいる地道な作業も続けられる。
好きだからこそ、時間を忘れて夢中になれる。
好きなことが、サラリーマンとして行き詰まり、うつ病寸前だった僕に、「自分らしさ」を取り戻してくれた。
「どうせ無理」だと、自分の中でフタをして眠らせていた才能と情熱を目覚めさせてくれた。
好きなことを仕事にすることで、私の人生は一気に劇的に好転した。
好きなことを仕事にして、人の役に立つ仕事に仕立てる。
それでは、好きなことを仕事にさえすれば、すべての人が上手く行く、成功するわけではない。当然のことながら上手く行く人、行かない人に分かれる。この明暗を分けるものはなにか。
その違いは「人の役に立つ仕事」になっているかどうかだと考えている。私の場合を例にとってみても、動物、植物を問わず、生き物を育てることに無常の喜びを感じるからこそ、農業という職業を選択した。ただ、ここで従来型の農業スタイルを踏襲した出荷型の農業であれば、経済的にも時間的にもまったく余裕のない生活になっていたはずだ。
そこで、知恵を絞り工夫して、生産者にとってもお客様にとってもお互いに喜びを分かち合えるWin-Winの関係を仕組化して、観光農園というスタイルの経営にした。こうすることによって、スーパーでパック詰めされたブルーベリーを単純に買って食べるのではなく、畑で何十種類ものブルーベリーを直接摘み取って、思う存分味わっていただく体験ができるようにした。こうしてお客様のお役にたてるビジネスモデルに仕立てたことで、いまの私がある。
だから、好きなことを仕事にすることをオススメしているが、「好き」を「好き」だけで終わらせることなく、「好き」を「人の役に立つ」仕事に仕立てていくことで、本当の意味での「好きな仕事があなたの人生を変える」が成立することになる。
最後は腹をくくれるかどうか。
好きなことを仕事にして生きていくことは、簡単なことではないが、逆に「どうせ無理」と簡単にあきらめてしまうほど難しいことでもない。
最後は、好きなことを仕事にする、ということに対してあなたがどれだけ覚悟できるか、腹をくくれるかだ。覚悟した人、腹をくくった人はブレない。ブレないあなたを見て家族も付いてくる。周りも応援してくれる。覚悟できれば、前に進めばいいし、腹をくくれないのなら、今はそのタイミングではないのではないか。
人生100年時代を迎えて・・・
これから人生100年時代がやってくる。100年生きるなら80歳まで働かなければならない。20歳前後から80歳まで同じ会社で同じ仕事で働き続けることが、果たして可能なのか。そう考えると30代、40代、あるいは中高年で遅くはない、自分の好きなこと、やりたいことへ挑戦していくのは、決して危ない橋を渡るような冒険ではなく、生き残るための現実的なシフトチェンジではないか。むしろ何もしないリスクの方が大きいのではないか。
ひとりでも多くの人が、好きなことを仕事にして、潜在能力を思う存分発揮する。そうなったら急激な人口減少を迎える日本でも、今の豊かさと活力を次の世代に引き継ぐことができるのではないか、もっと言えば「人口減少の中での成長」という前例のない成長モデルの先駆けになれるのではないかと考えている。
好きな仕事には、人生を変える力がある。「儲かるから」とか「ラクだから」という理由で仕事を選んでほしくない。勇気を出した人に世界はやさしい。未来はえらべる。一度しかない人生だからこそ、挑戦してほしい。
次回から「好きなことを仕事にする10か条」をお伝えする。 これまで、脱サラ起業ストーリーを8話にわたりお伝えしてきた。このストーリーは一旦終了して次回からは、「好きなことを仕事にする10か条」について、10回程度で綴っていく。